「お母さん運転好きだし、おしゃべりだから向いているんじゃない?」
kmのタクシードライバーになると伝えた時、息子から言われたのがこの言葉。彼の言う通り、私は大の話好きなんですよ。喉がカラカラになると上手く話せないから、車内にいつも飴をストックしておくくらい。小さいお子さんにあげたり、常連さんに「これ美味しいから舐めて!」と勧めたりして割と好評です。でも実はこれ、他のドライバーさんを真似て始めたものなんです。
私は勉強を兼ねてたまに他社のタクシーに乗るのですが、「やっぱりkmで良かったな~」と思う時もあれば、このドライバーさんの心構えは素敵!真似したい!と思うこともあります。飴もその1つで、早速真似てみました(笑)。
タクシードライバーの仕事ってお客さまを送り迎えするだけと思われがちですが、実はこれがドライバーの心掛けが仕事の大きな要素になったりするんです。
例えば、酔いやすいお客さまがご乗車された時、私は赤ちゃんを座席に寝かせておいても転がらないくらい優しい運転を心掛けています。コツは手前からブレーキを踏んでおいてギリギリの所で1回離すこと。出来るだけ車体が揺れないように運転します。他にも、直線で行ける道を選んだりしています。 私の所属する横浜の六ツ川営業所は地域密着型なので、酔いやすいお客さまは覚えています。私がお送り出来ないときは仲間に「酔いやすい方だから気つけて」と伝えます。常にお客さまの目線になって考えることが大切ですね。
ご年配のお客さまも多いので、大きな声で話すことは基本です。杖を持っていて手が挙げられない方には自分の方から声をかけています。まあ8年もドライバーをしているので目や仕草で乗りたいかどうか大体分かるんですけどね(笑)。
また、お年寄りの方は会話や気晴らしのためにタクシーを利用する場合もあります。「今日はお天気だね。桜見ながら行く?」なんて提案したりしますよ。
お客さまのことを家族のように思っています。私は家族を自分の車に乗せて大事に、大事に走っているだけ。家族だったら楽しくにこやかに乗ってもらいたいじゃないですか。それだけです。
私の営業している地域は介護施設や医療センターがあるのでお年寄りや病気を抱えている方が多いんです。そういった方たちの姿が、どうしても私の家族と重なって見えてしまうんですよね。
夫の両親が東北に住んでいたのですが、私も彼らの介護がしたかったので同居したいとずっと思っていました。介護免許をとって、私の手で全てお世話したかったんです。しかし残念なことにその願いが叶わないまま、二人は他界してしまいました。彼らに何もしてあげられなかったのがとても悔しかったんです。
また、私には息子が3人いるのですが、下の二人が軽度のハンディキャップをもっています。息子たちと同じようなハンディキャップのある方を病院まで送迎する予約が入った時には、やっぱり他人事とは思えなくて、たとえ熱があったって絶対に私が行くんだ、と思っています。
もし、お客さまが求めて下さるなら私の経験も共有したいと思っています。
こうした想いがあるから、お客さまに対してどこか「ほっておけない」「笑ってほしい」「自分に出来ることはしてあげたい」という家族のような気持ちが生まれるのかもしれません。
色々お話ししてきましたが、要はね、私が家でも仕事でも変わらず笑っていたいんです。運転もお客さまと接するのもkmの仕事は私が楽しいからやっているんですよ。「私お喋りだから1人で乗っていると寂しいんだよ。お客さんと話せて良かった!」って私はよく言いますが、本当にそう。
ベースにお客さまへの感謝があるので、私のタクシーを選んでくれたからには「また乗りたい!」と思うくらい笑わせたいんです。元気になって降りてほしいから沢山の余計なお世話をして、喜んでもらえればラッキーくらいの気持ちです。
タクシードライバーって楽しいんですよ。ご年配のお客さまからは人生のアドバイスをもらえたり。
横浜の六ツ川営業所は先輩もみんな優しくて、娘のように接してくれます。まるで営業所が一つの家族のような関係で、みんなで支えあってやっています。
kmのタクシードライバーなら正社員ですし、日勤で働けば夕食は家族と一緒に食べることが出来ます。仕事も運転だけという無機質な感じではなく、お客さまと触れ合う温かみがあってやりがいのあるものです。
私もお喋りでお節介な自分のまま、明るく楽しく、この場所でタクシードライバーとして頑張っていこうと思います。